労災の休業(補償)給付はいくらもらえて、いつから請求できますか?休業4日目から給付基礎日額の60%に休業特別支給金の20%が加わり、請求は様式第8号または第16号の6で、時効は賃金を受けない日の翌日から2年です
労災の休業(補償)給付は、どのような制度ですか?
業務上または通勤による負傷や疾病の療養のために働けず、賃金を受けていない労働者に、労災保険から支給される現金給付です。業務災害では「休業補償給付」、通勤災害では「休業給付」と呼びます。ホフィットラボが2026年10月27日に、厚生労働省のパンフレットとe-Gov法令検索で確認しました。
労働者災害補償保険法第14条第1項は、休業補償給付を、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給すると定めています。第22条の2は、通勤による負傷または疾病の場合の休業給付について、第14条を準用すると定めています。
厚生労働省のパンフレットは、次の3つの要件をすべて満たすことを条件としています。
- 業務上の事由または通勤による負傷や疾病の療養のためであることが、1つ目の要件です。
- 療養のために労働することができないことが、2つ目の要件です。
- 賃金を受けていないことが、3つ目の要件です。
労働者災害補償保険法第12条の8第2項は、保険給付を、請求にもとづいて行うと定めています。業務外の病気やケガで休んだときは労災保険の対象にならず、健康保険の傷病手当金が対象になります。傷病手当金の金額や期間は、ホフィットラボの記事「傷病手当金はいくらもらえて、いつまで受け取れますか?」にまとめています。
休業(補償)給付の金額は、いくらですか?
1日につき、給付基礎日額の60%の休業(補償)給付と、給付基礎日額の20%の休業特別支給金が支給されます。合わせて給付基礎日額の80%です。厚生労働省のパンフレットの計算式で、ホフィットラボが2026年10月27日に確認しました。
労働者災害補償保険法第14条第1項は、休業補償給付の額を1日につき給付基礎日額の100分の60と定めています。労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項は、休業特別支給金の額を1日につき休業給付基礎日額の100分の20と定めています。休業特別支給金は、休業の4日目から支給されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 休業補償給付・休業給付 | 給付基礎日額の60% × 休業日数 |
| 休業特別支給金 | 給付基礎日額の20% × 休業日数 |
| 支給が始まる日 | 賃金を受けない日の第4日目 |
| 対象となる災害 | 業務災害は休業補償給付、通勤災害は休業給付 |
上の表は、休業(補償)給付と休業特別支給金の計算式、支給が始まる日をまとめたものです。
給付基礎日額が10,000円で、休業が10日間続いた場合の計算例を示します。この10,000円は、説明のために置いた仮の金額です。支給の対象は4日目から10日目までの7日間です。休業(補償)給付は6,000円×7日で42,000円、休業特別支給金は2,000円×7日で14,000円となり、合計は56,000円です。実際の額は、所轄の労働基準監督署が算定します。
待期3日間の分は、誰がどのように補償しますか?
休業の初日から3日目までは労災保険の休業(補償)給付が出ません。業務災害の場合は、事業主が労働基準法第76条にもとづき、平均賃金の60%を休業補償として支払います。ホフィットラボが2026年10月27日に、厚生労働省のパンフレットとe-Gov法令検索で確認しました。
厚生労働省のパンフレットは、休業の初日から第3日目までを待期期間と呼んでいます。パンフレットは、業務災害の場合に事業主が労働基準法の規定にもとづいて休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うと案内しています。労働基準法第76条第1項は、労働者が業務上の療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に、使用者は療養中、平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならないと定めています。
前の項目の仮の金額で計算すると、給付基礎日額が10,000円のとき、待期3日間の事業主負担は6,000円×3日で18,000円です。
通勤災害の場合は事情が異なります。パンフレットは、複数業務要因災害と通勤災害の場合には、事業主の補償責任についての法令上の規定はないと案内しています。通勤災害の待期3日間について、事業主に労働基準法第76条の休業補償の義務はありません。
給付基礎日額は、どのように決まりますか?
原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額です。事故が発生した日または疾病の発生が確定した日の直前の賃金締切日からさかのぼる3か月間の賃金総額を、期間の暦日数で割って求めます。ホフィットラボが2026年10月27日に確認しました。
労働者災害補償保険法第8条第1項は、給付基礎日額を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額と定めています。厚生労働省のパンフレットは、算定の対象となる賃金から、ボーナスや臨時に支払われる賃金を除くと案内しています。労働基準法第12条第1項は、臨時に支払われた賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を、賃金総額に算入しないと定めています。
労働基準法第12条第1項ただし書は、平均賃金に最低保障額を設けています。賃金が日給・時給・出来高払いで決まっている場合は、賃金総額を期間中に労働した日数で割った額の100分の60を下回らない額とします。
賃金総額が920,000円、期間の暦日数が92日の場合の計算例は、次のとおりです。920,000円を92日で割ると、1日あたり10,000円です。この数字は説明のために置いた仮の金額で、実際には賃金締切日と支払われた賃金の内訳によって変わります。
休業が長引いた場合の給付基礎日額は、2つの点で見直されます。
- 賃金水準が四半期で10%を超えて変動した場合は、変動率に応じて給付基礎日額が増額または減額(スライド)されます。厚生労働省のパンフレットの案内です。
- 療養開始後1年6か月を経過した場合は、年齢階層別の最低限度額と最高限度額が適用されます。この場合の額を休業給付基礎日額と呼びます。
仕事を一部だけ休んだ日は、休業(補償)給付の金額はどうなりますか?
所定労働時間のうち一部だけ働いた日は、給付基礎日額から実際に働いた部分の賃金額を引いた額の60%が支給されます。通院のために半日休んだ日が典型例です。ホフィットラボが2026年10月27日に、厚生労働省のパンフレットとe-Gov法令検索で確認しました。
労働者災害補償保険法第14条第1項ただし書は、療養のため所定労働時間のうち一部分についてのみ労働する日や、賃金が支払われる休暇の日(部分算定日)について、給付基礎日額から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除した額の100分の60と定めています。休業特別支給金も、労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項ただし書により、同じ控除をした額の100分の20です。
給付基礎日額が10,000円で、半日勤務して賃金4,000円が支払われた日の計算例を示します。控除後の額は6,000円で、休業(補償)給付は6,000円の60%の3,600円、休業特別支給金は6,000円の20%の1,200円です。この金額は説明のための仮の数字です。
請求書には、一部休業した日を記載する別紙2が必要です。
休業(補償)給付は、どの請求書で、どこに請求しますか?
業務災害は「休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書」(様式第8号)、通勤災害は「休業給付支給請求書」(様式第16号の6)を、所轄の労働基準監督署長に提出します。厚生労働省のパンフレットに書かれている手続です。ホフィットラボが2026年10月27日に確認しました。
パンフレットは、休業が長期にわたる場合は1か月ごとの請求が一般的だと案内しています。休業特別支給金の支給申請は、原則として休業(補償)等給付の請求と同時に行います。様式も同一です。労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第5項も、休業特別支給金の申請を、休業(補償)給付の請求と同時に行うよう定めています。
請求書には、証明の記載が必要です。
- 事業主の証明が必要です。パンフレットは、離職後に2回目以降の請求をする場合には、事業主の証明は必要ないと案内しています。ただし、療養のため働けなかった期間の全部または一部が離職前にある場合は、証明が必要です。
- 診療担当者(医師、歯科医師、柔道整復師等)の証明が必要です。療養の期間、傷病名、傷病の経過を証明します。
- 会社が廃止されている場合や、事業主が証明を拒否している場合でも、労災の請求はできます。パンフレットは、最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署に相談するよう案内しています。
添付書類が必要になるのは、次の場合です。同じ傷病で障害厚生年金や障害基礎年金を受けているときは、支給額を証明する書類です。一部休業した日があるときは、様式第8号または第16号の6の別紙2です。複数事業労働者の場合は、請求書に記入した事業場以外の事業場について、別紙1から別紙3です。
通勤災害で療養給付を受ける場合は、初回の休業給付から一部負担金として200円が減額されます。日雇特例被保険者は100円です。厚生労働省のパンフレットが示す額です。
休業(補償)給付の請求に、時効はありますか?
あります。休業(補償)給付を受ける権利は、行使できる時から2年を経過すると、時効によって消滅します。厚生労働省のパンフレットは、賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、翌日から2年で消滅すると案内しています。ホフィットラボが2026年10月27日に確認しました。
労働者災害補償保険法第42条第1項は、療養補償給付、休業補償給付、休業給付、葬祭料、介護給付を受ける権利を、行使できる時から2年を経過したときは時効によって消滅すると定めています。障害補償給付と遺族補償給付は5年で、休業補償給付とは期間が異なります。
休業特別支給金にも期限があります。労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第6項は、休業特別支給金の支給申請を、支給の対象となる日の翌日から起算して2年以内に行うよう定めています。
パンフレットは、時効の完成前に請求書を提出した場合は、請求権の時効の問題はなくなると案内しています。休業が数か月続いている場合は、1か月ごとの請求を続けて、最も古い休業日の翌日から2年が近づいていないかを確認します。
労災の休業(補償)給付と、健康保険の傷病手当金は、どう使い分けますか?
業務上または通勤の病気やケガは労災保険の休業(補償)給付、業務外の病気やケガは健康保険の傷病手当金です。原因が業務上か業務外かで、請求先が決まります。ホフィットラボが2026年10月27日に確認しました。
| 項目 | 労災保険の休業(補償)給付 | 健康保険の傷病手当金 |
|---|---|---|
| 対象となる原因 | 業務上または通勤による負傷や疾病 | 業務外の病気やケガ |
| 請求先 | 所轄の労働基準監督署長 | 加入する健康保険の保険者 |
上の表は、労災保険の休業(補償)給付と健康保険の傷病手当金の対象と請求先の違いをまとめたものです。
業務災害に当たるかどうかを迷う場合は、所轄の労働基準監督署か、都道府県労働局に相談します。パンフレットは、請求書の記載方法や支給要件の相談先として、労災保険相談ダイヤル(0570-006031、月から金の8時30分から17時15分、祝祭日と年末年始を除く)を案内しています。
事業主は、2026年10月27日時点で何を確認すればよいですか?
事業主が確認するのは、待期3日間の休業補償、請求書への事業主証明、平均賃金の資料の3点です。業務災害で従業員が休業した場合に、事業主が対応する項目です。ホフィットラボが2026年10月27日に、厚生労働省のパンフレットとe-Gov法令検索で確認しました。
- 業務災害の待期3日間は、労働基準法第76条にもとづき、平均賃金の60%の休業補償を事業主が支払います。通勤災害の待期3日間に、事業主の補償義務はありません。
- 休業(補償)給付の請求書には、事業主の証明欄があります。従業員から証明を求められたときは、賃金の支払い状況や休業日数を確認して記入します。
- 給付基礎日額の算定には、直前の賃金締切日からさかのぼる3か月間の賃金総額と暦日数が必要です。賃金台帳から、ボーナスと臨時に支払われた賃金を除いた額を用意します。
- 事業主証明が得られないことは、従業員が労災を請求できない理由になりません。パンフレットは、事業主証明が得られない場合でも労災の請求はできると案内しています。
本記事で確認した内容と確認日
ホフィットラボは2026年10月27日に、厚生労働省の「休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続」のパンフレットと案内ページ、e-Gov法令検索の労働者災害補償保険法、労働基準法、労働者災害補償保険特別支給金支給規則を確認しました。
確認した内容は、休業(補償)給付が休業の4日目から給付基礎日額の100分の60であること、休業特別支給金が100分の20であること、待期3日間に業務災害で事業主が平均賃金の60%の休業補償を行うこと、給付基礎日額が平均賃金に相当する額であること、請求書が様式第8号と様式第16号の6であること、時効が2年であることです。給付基礎日額の最低限度額と最高限度額の具体的な金額、スライド率の最新の数値は、確認していません。実際の請求と支給額は、所轄の労働基準監督署の判断によります。
出典(いずれも公式サイト・公式資料)
- 厚生労働省「休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続」(パンフレット、給付の内容・給付基礎日額・請求書・時効) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001743917.pdf
- 厚生労働省「休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続」(案内ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyousei/rousai/040325-13.html
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)」第8条・第8条の2・第14条・第22条の2・第42条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000050
- e-Gov法令検索「労働基準法(昭和22年法律第49号)」第12条・第76条 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和49年労働省令第30号)」第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/349M50002000030
