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通勤手当の非課税限度額は2026年4月に何が変わりましたか?片道65km以上の引上げと駐車場代5,000円の加算を国税庁のQ&Aで確認しました

2026-09-16 公開税務

令和8年度税制改正により、自動車や自転車などの交通用具で通勤する給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が2つ変わりました。1つ目は、片道65km以上の区分の新設と引上げです。改正前は片道55km以上が一律38,700円でしたが、改正後は65km以上75km未満が45,700円、75km以上85km未満が52,700円、85km以上95km未満が59,600円、95km以上が66,400円になりました。2つ目は、勤務先や駅の周辺にある駐車場等の料金を負担することを常例とする人について、距離区分の限度額に1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算できるようになったことです。自宅付近の駐車場は加算の対象になりません。改正は令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されます。ホフィット中小企業ラボが2026年9月16日に国税庁の改正のあらましとQ&Aで確認した内容を整理します。

通勤手当の非課税限度額は2026年4月に何が変わりましたか?

2つ変わりました。国税庁が令和8年4月に公表した「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」には、令和8年度税制改正により、通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額について、次の改正が行われたと書かれています。

1つ目は、通勤距離が片道65km以上の人の非課税限度額の引上げです。2つ目は、一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を負担することを常例とする人について、通勤距離の区分に応じた非課税限度額に、1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算した金額を非課税限度額とする取扱いの新設です。

電車やバスなど交通機関を利用している人の通勤手当は変わりません。国税庁の表では、交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当の非課税限度額は、改正後も1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度150,000円)で、改正前と同じとされています。

改正対象になる人内容
1つ目片道65km以上を交通用具で通勤する人非課税限度額を4段階に分けて引上げ
2つ目勤務先や駅の周辺の駐車場等の料金を負担する人距離区分の限度額に月5,000円まで加算
改正なし電車・バスなど交通機関の利用者1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度150,000円)

表の1つ目と2つ目は、どちらも自動車・自転車・バイクなど交通用具を使う人だけが対象です。ホフィット中小企業ラボは、マイカー通勤の従業員がいない会社であれば給与計算の変更は生じないと判断しています。

片道65km以上の非課税限度額はいくらになりましたか?

距離に応じて45,700円から66,400円までの4段階になりました。国税庁の改正のあらましの表では、改正後の1か月当たりの非課税限度額は、片道65km以上75km未満が45,700円、75km以上85km未満が52,700円、85km以上95km未満が59,600円、95km以上が66,400円とされています。

改正前は、片道55km以上がひとつの区分にまとめられ、38,700円が上限でした。改正後も片道55km以上65km未満は38,700円のままです。引き上げられたのは65km以上の部分だけです。

片道の通勤距離改正後(令和8年4月1日以後)改正前
2km未満全額課税全額課税
2km以上10km未満4,200円4,200円
10km以上15km未満7,300円7,300円
15km以上25km未満13,500円13,500円
25km以上35km未満19,700円19,700円
35km以上45km未満25,900円25,900円
45km以上55km未満32,300円32,300円
55km以上65km未満38,700円38,700円
65km以上75km未満45,700円38,700円
75km以上85km未満52,700円38,700円
85km以上95km未満59,600円38,700円
95km以上66,400円38,700円

表の改正前の欄のうち、65km以上の4区分は、改正前に区分が存在せず片道55km以上の38,700円が適用されていた金額です。ホフィット中小企業ラボが改正前後の差額を計算すると、片道70kmの従業員で月7,000円、片道80kmで月14,000円、片道90kmで月20,900円、片道100kmで月27,700円だけ非課税で渡せる枠が広がります。片道100kmの従業員1人あたりでは、年間332,400円が課税から外れる計算です。

駐車場代はいくらまで非課税になりますか?

1か月当たり5,000円までです。国税庁のQ&Aには、自動車等の交通用具を使用することを常例とする人で、一定の要件を満たす駐車場等の料金を負担することを常例とする人に支給する通勤手当の非課税限度額は、通勤距離の区分に応じた非課税限度額と、1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)の合計額になると書かれています。

駐車場代が5,000円を超えても、加算できるのは5,000円までです。国税庁のQ&Aのケースでは、片道50kmで1か月8,000円の駐車場を利用する従業員に通勤手当32,300円と駐車場代8,000円の合計40,300円を支給した場合、非課税限度額は32,300円と5,000円を足した37,300円となり、超過した3,000円が課税とされています。

駐車場代が5,000円未満のときは、実際の金額が加算額になります。国税庁のQ&Aの別のケースでは、1か月の料金が4,400円の駐車場について、非課税限度額が32,300円と4,400円を足した36,700円と計算されています。

支給の内訳1か月の駐車場料金非課税限度額課税される金額
通勤手当32,300円+駐車場代8,000円=40,300円8,000円37,300円3,000円
通勤手当28,000円+駐車場代8,000円=36,000円8,000円37,300円0円
通勤手当33,000円+駐車場代4,400円=37,400円4,400円36,700円700円
区分せず通勤手当として35,000円4,400円36,700円0円

表の4行はいずれも片道50kmの従業員のケースで、通勤距離に応じた非課税限度額32,300円に駐車場分を足した金額と、実際の支給額を比べています。表の4行目のとおり、通勤手当と駐車場代を区分せずに1本で支給しても、非課税限度額の計算方法は変わりません。

どの駐車場でも加算の対象になりますか?

勤務場所の周辺か、通勤で使う駅などの周辺にある駐車場だけです。国税庁のQ&Aには、一定の要件を満たす駐車場等とは、通勤のために使用する交通用具の駐車のための施設のうち、通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺、またはその人が通勤のために利用する交通機関の駅もしくは停留所その他の施設の周辺にあるものをいうと書かれています。

自宅付近の駐車場は対象外です。国税庁のQ&Aは、自宅付近の駐車場等は一定の要件を満たす駐車場等に該当しないため、自宅付近の駐車場等を利用している場合の駐車場等の料金相当額の通勤手当は非課税とならないと明記しています。

自転車やバイクの駐輪場は対象に含まれます。国税庁のQ&Aには、一定の要件を満たす駐車場等の駐車場等には、通勤のために使用する自転車やバイクの駐輪場も含まれると書かれています。

複数の駐車場を使っている場合は合計できます。国税庁のQ&Aには、通勤のために複数の駐車場等の料金を負担することを常例としている場合、それらが一定の要件を満たす駐車場等に該当するときは、料金の合計額に相当する金額(上限5,000円)の通勤手当が非課税となると書かれています。

片道2km未満の人は加算できません。国税庁のQ&Aには、駐車場等の料金相当額の通勤手当が非課税となる人から通勤の距離が2km未満である人は除かれているため、片道2km未満の人が駐車場等の料金を負担することを常例とする場合であっても非課税とならないと書かれています。

月ぎめでない駐車場は1か月当たりいくらとして計算しますか?

料金の定め方ごとに計算方法が決まっています。国税庁のQ&Aは、1か月当たりの駐車場等の料金相当額を、月単位で定められている場合、年単位で定められている場合、利用の都度負担する場合、それ以外の場合の4つに分けて示しています。

料金に消費税および地方消費税が含まれている場合は、消費税等を含めた金額で計算します。国税庁のQ&Aにその旨が明記されています。

料金の定め方1か月当たりの計算方法国税庁が挙げる例
月単位そのままの金額。1月の整数倍の期間なら倍数で割る3か月24,000円なら8,000円
年単位12で割る。1年の整数倍なら12に倍数を掛けた数で割る1年79,200円なら6,600円、2年168,960円なら7,040円
利用の都度1か月間に実際に支払った合計額、または1回の料金×利用回数11枚綴り1,200円の回数券で月20日出勤なら2,182円
その他年間料金相当額を12で割る7日5,880円なら年306,600円で月25,550円

表の3行目の回数券の例について、国税庁のQ&Aは、非課税限度額の計算の簡素化のために1回あたり120円×20日の2,400円としても差し支えないとしています。計算方法は合理的であれば他の方法でもよいと国税庁のQ&Aに書かれています。

会社が従業員に代わって駐車場を契約している場合はどうなりますか?

会社が負担した駐車場代も、通勤手当を支給したものとして計算します。国税庁のQ&Aには、従業員が選んだ会社付近の駐車場を従業員に代わって会社が契約して毎月6,000円を負担している場合について、実態として従業員に対して駐車場代相当額の通勤手当を支給しているものと変わりがないため、駐車場代として負担した6,000円について通勤手当を支給したものとして非課税限度額の計算を行うと書かれています。

国税庁のQ&Aが示す計算では、片道50kmの通勤手当32,300円と会社負担の駐車場代6,000円を合わせた支給額38,300円に対し、非課税限度額は32,300円に5,000円を足した37,300円となり、超過した1,000円が課税されます。会社名義で駐車場を借りていても、非課税限度額の5,000円の枠は変わりません。

領収書や契約書は毎月集める必要がありますか?

毎月の提示を受ける必要はありません。国税庁のQ&Aには、駐車場等の料金相当額の通勤手当を非課税として支給するにあたり、従業員から駐車場等の料金が記載された契約書や領収書等の書類の提示等を受ける法令上の義務はないと書かれています。

ただし金額の確認は必要です。国税庁のQ&Aは、1か月当たりの駐車場等の料金相当額を算出する必要があるため、その算出に必要な金額が確認できる書類の提示等を受けるなどして金額を確認する必要はあるとしています。確認は通勤手当の支給の都度行う必要はありません。

料金が変わったときは申出を受けます。国税庁のQ&Aには、駐車場等の料金に変更があった場合には従業員から申出を受けて必要な金額を確認する必要があると書かれています。ただし1か月当たりの料金相当額が既に5,000円を超えている人について値上げがあった場合は、あえて申出を受ける必要はないとされています。

いつ支払う通勤手当から適用されますか?

令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当からです。国税庁のQ&Aには、改正後の通勤手当の非課税限度額は、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除く)について適用されると書かれています。

令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当の意味も示されています。国税庁のQ&Aによると、契約または慣習等により支給日が定められているものはその支給日、支給日が定められていないものは支給を受けた日が令和8年4月1日以後のものを指します。

給与規程を遡って改訂した場合は、差額の支給日で判定します。国税庁のQ&Aには、給与規程の改訂が既往に遡って実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧通勤手当の差額について、支給日が定められているものはその支給日、定められていないものはその改訂の効力が生じた日で判定すると書かれています。ただしその日が令和8年4月1日以後であっても、同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものには改正後の非課税限度額は適用されません。

会社は何から手を付ければよいですか?

マイカー通勤者の片道距離と駐車場代の負担状況の2点を洗い出す作業から始まります。ホフィット中小企業ラボの整理では、片道65km以上の従業員がいる会社は距離区分の適用を見直し、勤務先や駅の周辺の駐車場代を会社が負担している会社は1か月当たりの料金相当額を確認する必要があります。

確認する項目は4つです。国税庁のQ&Aが求めている情報から整理しました。

  • 交通用具で通勤する従業員ごとの片道の通勤距離を確認し、65km以上の人がいるかどうかを一覧にします。
  • 勤務先または駅・停留所の周辺にある駐車場等の料金を従業員が負担しているかどうかを、従業員ごとに確認します。
  • 駐車場代を負担している従業員について、月単位・年単位・都度払いのどれに当たるかを確かめ、1か月当たりの料金相当額を算出します。
  • 会社名義で駐車場を契約して料金を負担している従業員がいるかどうかを確認し、いる場合は通勤手当として支給したものとして限度額を計算します。

この記事の金額と取扱いは、ホフィット中小企業ラボが2026年9月16日に国税庁の「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」(令和8年4月)と「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」で確認した内容です。国税庁のタックスアンサーNo.2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」は令和8年4月1日現在の法令等に基づく内容として同じ金額を掲載しています。

出典(いずれも各社公式サイト)