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2026年12月の年末調整は何が変わりますか?基礎控除の104万円への引上げと給与所得控除の最低保障額74万円を国税庁の資料で確認しました

2026-09-15 公開税務

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。3つの改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。令和8年11月までの毎月の給与の源泉徴収事務に変更はなく、変更が出るのは令和8年12月に行う年末調整からです。基礎控除額は、合計所得金額489万円以下の人で104万円になりました。給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ引き上げられました。扶養親族と同一生計配偶者の所得要件は、合計所得金額58万円以下から62万円以下へ緩和されました。ホフィット中小企業ラボが2026年9月15日に国税庁の改正のあらましとQ&Aで確認した内容を整理します。

2026年12月の年末調整は何が変わりますか?

3つ変わります。国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」には、令和8年度税制改正による源泉所得税関係の改正として、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正の3つが挙げられています。

3つの改正は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。国税庁のQ&Aには、令和8年12月に行う年末調整の際に、引上げ後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で計算した源泉徴収税額との精算を行うと書かれています。

改正内容施行日
1つ目基礎控除の引上げ令和8年12月1日
2つ目給与所得控除の最低保障額の引上げと「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の改正令和8年12月1日
3つ目扶養親族等の所得要件の改正令和8年12月1日
4つ目源泉徴収税額表の改正令和9年1月1日
5つ目公的年金等に係る源泉徴収税額の計算における基礎的控除額の引上げ令和9年1月1日

表のうち4つ目と5つ目は、令和9年1月1日以後に支払うべき給与と公的年金等について適用されます。令和8年分の年末調整に関係するのは1つ目から3つ目までです。

11月までの毎月の給与計算は変えるのですか?

変えません。国税庁のQ&Aには、令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じないと明記されています。毎月の給与から差し引く源泉徴収税額は、令和8年11月分まで改正前の源泉徴収税額表で計算します。

給与計算の実務で変更が出るのは、令和8年12月に行う年末調整の計算からです。年末調整では、引上げ後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って1年分の税額を計算し、毎月徴収してきた税額との差額を精算します。

毎月の徴収税額の合計額が年調年税額より多い場合、その差額は過納額として本人に還付します。国税庁のQ&Aには、年末調整を行った月分の徴収税額から差し引いて還付し、それだけで還付しきれないときは、その後に納付する徴収税額から順次差し引いて還付すると書かれています。還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を所轄税務署に提出して還付を受けます。

基礎控除額はいくらに引き上げられましたか?

合計所得金額489万円以下の人は104万円です。国税庁の改正のあらましの表では、令和8・9年分の基礎控除額は、合計所得金額489万円以下が104万円、489万円超655万円以下が67万円、655万円超2,350万円以下が62万円とされています。

改正前の令和8年分は、合計所得金額の区分が5段階に分かれていました。改正後の令和8・9年分は、489万円以下が104万円の1段階にまとまります。

合計所得金額(収入が給与だけの場合の収入金額)改正後(令和8・9年分)改正前(令和8年分)
132万円以下(206万円以下)104万円95万円
132万円超336万円以下(206万円超475万1,999円以下)104万円88万円
336万円超489万円以下(475万1,999円超665万5,556円以下)104万円68万円
489万円超655万円以下(665万5,556円超850万円以下)67万円63万円
655万円超2,350万円以下(850万円超2,545万円以下)62万円58万円

表のかっこ内は、令和8・9年分において収入が給与だけの場合の収入金額です。合計所得金額が2,350万円を超える場合の基礎控除額に改正はありません。

104万円という金額は、所得税法第86条の基礎控除額62万円に、租税特別措置法第41条の16の2の加算額42万円を足した額です。国税庁の改正のあらましには、改正前の基礎控除額が58万円に37万円・30万円・10万円・5万円を加算した額であったと書かれています。加算は居住者についてのみ適用されます。

令和10年分以後は金額が変わります。国税庁の表では、令和10年分以後の基礎控除額は、合計所得金額132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円とされています。

給与所得控除の最低保障額はいくらになりましたか?

74万円です。国税庁の改正のあらましには、給与所得控除について、65万円の最低保障額が74万円に引き上げられたと書かれています。

給与等の収入金額190万円以下の場合、改正後の給与所得控除額は74万円です。190万円超220万円以下の場合は、その収入金額×30%+8万円で計算します。収入金額が220万円を超える場合の給与所得控除額に改正はありません。

家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例も動きました。必要経費に算入する金額の最低保障額が、65万円から69万円に引き上げられています。

給与所得控除の最低保障額の引上げに伴い、所得税法で定める令和8年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されました。国税庁が作成する表は「令和8年分 年末調整のしかた」に掲載されています。令和8年12月の年末調整では、改正後の表を使います。

給与収入が69万1,000円以上220万円未満の人には別の計算があるのですか?

あります。国税庁の改正のあらましには、令和8・9年分の給与等の収入金額が69万1,000円以上220万円未満である場合、その給与等に係る給与所得の金額を次のとおりとすることとされたと書かれています。

給与等の収入金額給与所得の金額
69万1,000円以上74万1,000円未満なし
74万1,000円以上219万1,000円未満その収入金額-74万円
219万1,000円以上219万3,000円未満145万1,000円
219万3,000円以上219万6,000円未満145万3,000円
219万6,000円以上220万円未満145万6,000円

表の区分は令和8・9年分の2年間の取扱いです。国税庁が作成する「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」は、表の内容を加味したものになると国税庁の資料に書かれています。パート従業員の年末調整を行う会社は、独自に計算せず国税庁の表を使うのが確実です。

扶養親族等の所得要件はいくらに変わりましたか?

扶養親族と同一生計配偶者は、合計所得金額62万円以下になりました。改正前は58万円以下です。国税庁の改正のあらましには、基礎控除額の引上げに伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が改正されたと書かれています。

扶養親族等の区分改正後の所得要件(給与だけの場合の収入金額)改正前の所得要件(給与だけの場合の収入金額)
扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子62万円以下(136万円以下)58万円以下(123万円以下)
特定親族62万円超123万円以下(136万円超197万円以下)58万円超123万円以下(123万円超188万円以下)
配偶者特別控除の対象となる配偶者62万円超133万円以下(136万円超207万円以下)58万円超133万円以下(123万円超201万5,999円以下)
勤労学生89万円以下(163万円以下)85万円以下(150万円以下)

表のかっこ内は、令和8・9年分において収入が給与だけの場合の収入金額です。給与収入だけで働く扶養親族の場合、上限は123万円から136万円へ13万円上がります。

所得要件の改正は、令和8年12月1日以後に支払う給与から適用されます。国税庁の改正のあらましには、令和8年11月30日以前に支払う給与について、源泉徴収税額表を使う際の「扶養親族等の数」に、改正により新たに対象となった扶養親族等を含めないよう注意する旨が書かれています。

扶養控除等申告書には何を書けばよいですか?

令和8年分の扶養控除等申告書に記載する事項そのものに変更はありません。国税庁のQ&Aには、令和8年分の扶養控除等申告書に記載する事項に変更はないと書かれています。

書き足しが必要になるのは、所得要件の改正で新たに扶養控除等の対象となった親族がいる従業員です。国税庁のQ&Aには、新たに対象となった扶養親族等を記載する際、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載するよう書かれています。

提出の期限は、原則として令和8年12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までです。国税庁のQ&Aには、年末調整を行う時までに申告書の提出があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことができると書かれています。

用紙そのものにも注意点があります。国税庁のQ&Aには、令和8年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合があるという注記が付いています。従業員に配る前に、裏面の所得要件が62万円で印刷されているかを確認する作業が要ります。

基礎控除申告書と配偶者控除等申告書では何に注意しますか?

基礎控除申告書は、合計所得金額に応じた改正後の基礎控除額を正しく記載する点です。国税庁のQ&Aには、令和8年12月1日から合計所得金額に応じて基礎控除額を引き上げる改正が行われたため、改正後の基礎控除額を正しく記載する必要があると書かれています。

配偶者控除等申告書は、配偶者の給与所得の計算で改正後の給与所得控除額を使う点です。国税庁のQ&Aには、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられたため、配偶者に給与所得がある場合には、改正後の給与所得控除額を適用して算出された合計所得金額に応じて配偶者(特別)控除額を正しく記載する必要があると書かれています。

配偶者のパート収入が同じでも、控除額の判定に使う合計所得金額は9万円下がります。給与収入136万円の配偶者は、改正前なら合計所得金額71万円で配偶者特別控除の区分でしたが、改正後は合計所得金額62万円で同一生計配偶者の所得要件に収まります。

特定親族特別控除申告書では何に注意しますか?

特定親族の給与所得も、改正後の給与所得控除額で計算し直す点です。国税庁のQ&Aには、特定親族に給与所得がある場合には、改正後の給与所得控除額を適用して算出された合計所得金額に応じて、特定親族特別控除額を正しく記載する必要があると書かれています。

区分が移動する人も出ます。国税庁のQ&Aには、扶養控除等申告書に源泉控除対象親族として記載していた特定親族が、改正により控除対象扶養親族(特定扶養親族)に該当することとなった場合、その親族は扶養控除の対象となると書かれています。この場合は、異動があった旨を記載した扶養控除等申告書の提出が必要です。

改正後の特定親族特別控除額は、特定親族の合計所得金額に応じて決まります。国税庁の改正のあらましの参考表では、合計所得金額62万円超85万円以下(給与だけなら136万円超159万円以下)で63万円、85万円超90万円以下で61万円、90万円超95万円以下で51万円、95万円超100万円以下で41万円、100万円超105万円以下で31万円、105万円超110万円以下で21万円、110万円超115万円以下で11万円、115万円超120万円以下で6万円、120万円超123万円以下で3万円とされています。

年末調整の書類を12月1日より前に配ってもよいのですか?

配って差し支えありません。国税庁のQ&Aは、11月から年末調整関係書類を提出させている会社からの質問に対し、令和8年12月1日以後適用される改正を反映した年末調整関係書類について、同日前から提出することとしても差し支えないと回答しています。

理由も書かれています。国税庁のQ&Aには、実務上、令和8年12月1日から年末調整関係書類の提出を受けたのでは年末調整に間に合わない事態も想定されるため、と書かれています。12月の給与計算日が早い会社ほど、11月中の回収を前提に動かせます。

11月30日以前に最後の給与を支払った人の年末調整はどうなりますか?

改正後の控除等は適用されません。国税庁のQ&Aには、令和8年分の最後の給与を令和8年11月30日以前に支払った場合の年末調整においては、改正後の基礎控除、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」、改正後の扶養親族等の所得要件は適用されないと書かれています。

対象になるのは、年の中途で亡くなって退職した人や、海外の支店等への転勤で非居住者となった人です。年末調整は、給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際に行うこととされているため、最後の支払が11月30日以前だと改正前の内容で計算が終わります。

その人が改正後の控除等の適用を受けるには、確定申告等をする必要があります。国税庁のQ&Aは、具体的な適用方法についてQ6-3とQ7-1を参照するよう案内しています。

源泉徴収票の様式は変わりますか?

令和8年度税制改正に伴う「給与所得の源泉徴収票」の改正はありません。国税庁のQ&Aには、税制改正に伴う源泉徴収票の改正はないと明記されています。

別の理由で様式は変わります。国税庁のQ&Aには、国税システムの更改に伴い、令和8年8月以降、給与所得の源泉徴収票を含む全ての法定調書の様式が変わると書かれています。

提出先も一部変わります。国税庁のQ&Aには、令和9年1月以後に提出する令和8年分の源泉徴収票について、市区町村に給与支払報告書を提出した場合は税務署に提出する必要がないと書かれています。受給者への交付は引き続き必要です。

ひとり親控除の引上げは2026年分の年末調整に影響しますか?

影響しません。国税庁のQ&Aには、令和8年度税制改正でひとり親控除の控除額が38万円(改正前35万円)に引き上げられたものの、改正は令和9年分以後の所得税について適用されるため、令和8年分の年末調整には影響がないと書かれています。

令和8年12月の年末調整では、ひとり親控除の額は35万円のまま計算します。38万円で計算するのは令和9年分からです。

2027年1月以降の給与計算では何を変えますか?

源泉徴収税額表を差し替えます。国税庁のQ&Aには、源泉徴収税額表が改正されたため、令和9年1月1日以後に支払うべき給与については「令和9年分 源泉徴収税額表」を使用して源泉徴収税額を計算するよう書かれています。

給与計算ソフトを使っている会社は、令和9年1月分の給与計算までに税額表の更新が当たるかを確認します。自社で計算している会社は、国税庁ホームページに掲載された令和9年分の税額表に差し替えます。

なお、令和10年分以後は金額が定期的に見直されます。国税庁の改正のあらましには、令和10年分以後の所得税の基礎控除額および給与所得控除の最低保障額について、2年ごとに、直前の見直し後の額に、見直し後2年間における全国消費者物価指数の変化率を乗じた額を基準として見直しを行うことを基本とするものとされた、と書かれています。

出典(いずれも各社公式サイト)