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カスタマーハラスメント対策は2026年10月から義務になりますか?事業主が講ずべき10の措置を厚生労働省のリーフレットで確認しました

2026-09-10 公開労務

カスタマーハラスメント防止のための措置は、令和8年10月1日から事業主の義務になります。改正労働施策総合推進法と、令和8年厚生労働省告示第51号の指針で定められました。事業主が必ず講じなければならない措置は10項目あり、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の対応、悪質なカスハラの抑止、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止の5つの区分に分かれます。カスタマーハラスメントの定義は3つの要素で構成され、3つを全て満たすものが該当します。ホフィット中小企業ラボが2026年9月10日に確認した時点で、施行日まで21日です。

カスタマーハラスメント対策は2026年10月から義務になりますか?

義務になります。令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント防止のための措置を講じることが事業主の義務です。厚生労働省のリーフレットには「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます」と書かれ、改正労働施策総合推進法と指針の内容として説明されています。

指針の正式名称は「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」です。令和8年厚生労働省告示第51号として出されています。

ホフィット中小企業ラボが2026年9月10日に確認した時点で、施行日の令和8年10月1日まで21日です。

カスタマーハラスメントの定義は何ですか?

3つの要素を全て満たす言動です。厚生労働省のリーフレットには、職場における「カスタマーハラスメント」として次の3つが挙げられ、3つの要素を全て満たすものをいうと書かれています。

  • 顧客等の言動であることが1つ目の要素です。
  • その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであることが2つ目の要素です。
  • 労働者の就業環境が害されるものであることが3つ目の要素です。

電話やインターネット上のものも含まれます。リーフレットには、電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれると注記されています。

「顧客等」にはどこまで含まれますか?

取引先や施設の利用者まで含まれます。リーフレットには、顧客等とは顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の事業主の行う事業に関係を有する者を指すと書かれています。

施設の例も具体的に挙げられています。駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等です。

将来の顧客も含まれます。リーフレットの括弧書きに、今後商品の購入やサービスの利用等をする可能性がある者も含むと書かれています。来店したが何も買わなかった人からの言動も、対象から外れません。

どういう言動がカスタマーハラスメントに当たりますか?

言動の内容が範囲を超えるものと、手段や態様が範囲を超えるものの2種類に分かれます。厚生労働省のリーフレットには、社会通念上許容される範囲を超えた言動の例が2つの区分で示されています。

区分リーフレットに挙げられている例
言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるものそもそも要求に理由がない、または商品・サービス等と全く関係のない要求
言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの契約等により想定しているサービスを著しく超える要求
言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの対応が著しく困難な、または対応が不可能な要求
言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの不当な損害賠償要求
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの身体的な攻撃(暴行、傷害等)
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの威圧的な言動
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの継続的、執拗な言動
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)

リーフレットの区分けは、要求の中身がおかしい場合と、要求の仕方がおかしい場合を分けています。正当な要求であっても、伝え方が暴言や居座りであれば手段の側で該当します。

事業主は具体的に何をすればよいですか?

10項目の措置です。厚生労働省のリーフレットには、事業主は以下の措置を必ず講じなければならないとして、5つの区分に分けて10項目が示されています。

区分措置
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発カスハラの内容及びあらかじめ定めた対処の内容を、労働者に周知する
相談体制の整備相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する
相談体制の整備相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
事後の迅速かつ適切な対応事実関係を迅速かつ正確に確認する
事後の迅速かつ適切な対応被害者に対する配慮のための措置を行う
事後の迅速かつ適切な対応再発防止に向けた措置を講ずる
カスハラの抑止のための措置特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備する
そのほか併せて講ずべき措置相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する
そのほか併せて講ずべき措置相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

10項目のうち、あらかじめ決めておくことが必要なものが4つあります。方針、対処の内容、相談窓口、悪質なケースへの対処方針です。事案が起きてから決めるのでは間に合いません。

「あらかじめ定めた対処の内容」とは何を決めるのですか?

現場の動き方です。厚生労働省のリーフレットには、労働者に周知する対処の内容の例として4つが示されています。

  • 管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐことが1つ目の例です。
  • 可能な限り労働者を一人で対応させないことが2つ目の例です。
  • 犯罪に該当し得る言動は警察へ通報することが3つ目の例です。
  • 本社・本部等へ情報共有を行い指示を仰ぐことが4つ目の例です。

4つとも、現場の担当者が単独で判断しない仕組みになっています。店舗や窓口を持つ会社では、誰に上げるかと、どこから警察に通報するかを先に決めておく作業が必要です。

対策を作るときに注意することはありますか?

消費者の権利と、障害を理由とする差別の禁止です。厚生労働省のリーフレットには、対策を講ずる際には消費者の権利や、障害者差別解消法における障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務に留意する必要があると注記されています。

正当なクレームを断る仕組みにしてはいけない、という意味になります。要求の内容が商品やサービスに関係し、伝え方も通常の範囲であれば、カスタマーハラスメントには当たりません。

自社の社員が取引先にカスハラをした場合はどうなりますか?

協力を求められたら応じる努力義務があります。厚生労働省のリーフレットには、自社の労働者が取引先等の他社の労働者に対してカスハラを行った場合、その取引先等の事業主から事実確認等の措置の実施に関して必要な協力を求められた際は、これに応じるよう努めなければならないと書かれています。

自社が被害を受ける側だけではない、という点が重要です。ホフィット中小企業ラボが確認したリーフレットには、加害側になった場合の努力義務が明記されています。

中小企業にも猶予期間はありますか?

リーフレットに猶予の記載はありません。厚生労働省のリーフレットは施行日を令和8年10月1日と示しており、企業規模による適用時期の違いは書かれていません。

ホフィット中小企業ラボが2026年9月10日に確認した範囲では、リーフレットにも厚生労働省の改正法の解説ページにも、企業規模ごとに施行日を分ける記載はありません。従業員が1人の会社でも、令和8年10月1日から同じ10項目の措置が求められる前提で準備してください。

2026年9月のうちに何から着手すればよいですか?

方針の文書化と相談窓口の指定です。10項目の措置のうち、施行日までに形にしておく必要があるものは、あらかじめ定めることを求められている4つです。

方針は文章にします。カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護するという内容を文書にして、労働者に周知する形です。

相談窓口は担当者名まで決めます。リーフレットの措置は、窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することと、窓口担当者が適切に対応できるようにすることの2つに分かれています。窓口を作るだけでは片方しか満たしません。

悪質なケースの線引きも先に決めます。特に悪質と考えられるカスハラへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、対処を行うことができる体制を整備することが、10項目のうちの1つです。警察への通報や、取引の停止をどの段階で行うかを決める作業になります。

出典(いずれも各社公式サイト)